2020年1月
ダンテ「神曲」の解説記事を作成し始める。「神曲」は「魔の山」の下敷きにある作品で、読解には欠かせない。なので先に「神曲」の解説記事を作る必要があった。
「なんで先に読み解く必要があるのか?」というとその方が美しいからである。例えばfufufufujitani氏はゲーテ「ファウスト」を読み解くに当たって先に「ヨブ記」とシェイクスピア「夏の夜の夢」の解説記事を書いている。さらに、その後ドストエフスキー「悪霊」を読み解く。
氏のニーベルングの指環作品群研究も、体系的に読み解く手法の賜物である。
「下敷き作品から順序立てて読み解く」というのは単なる美学であって義務ではない。作業量は増えるので挫折率も上がる。現に「神曲」の元となった一部で言われているイスラームの「階段の書」には手をつけなかった。日本語訳がなく、海外から取り寄せないといけなかったというのもあるが。
それにしても「神曲」という邦題は本当にこれで良かったのかとかなり考えた。恐らく多くのダンテ研究者も疑問に思っているはずである。思っていながら鴎外に遠慮しているのはいかがなのか。
2020年2月
活動実績特になし。
生活に追われながら読み解き進める。思ったより「神曲」が重くて後悔した。「魔の山」に直接関係あるのは煉獄篇だけなので、それ単体の記事でもよいかと魔がさした。
新型コロナウイルスの話題が上り始めたのはこのころであった。
新たな同志としてnagi氏が参加してくださった。
nagi氏は主に宮沢賢治を読み解いている。自分は「注文」をやって以来、ほとんど放棄していたのでありがたいことであった。
2020年3月
新型コロナウイルスによるパンデミックで周辺が慌ただしくなる。自然、自分も忙しく本を読む余裕がなかった。
新たな同志として黒井マダラさんが参加してくださった。
優れている。そして文章も明瞭で鋭い。本質を貫いてシンプルに捌いている。
ところで、yuki氏と黒井氏は創作もやられているとのこと。
彼らもいつか向こう側に行ってしまうのかと思うと一抹の寂しさを感じる。しかし、頑張ってもらいたい。
2020年4月
「四月は残酷な月」というが今年の四月は本当に残酷であった。
新型 コロナ・ウイルスは依然として人々を混乱の渦に巻き込んだ。人々が望んで巻き込まれにいった、という意見も存在するが、当事者である我々には判断のしようがない。歴史が決定することである。
時間の隙間を見つけては「神曲」を読んだ。何が書かれているのか、どのように書かれているのか、何を伝えようとしているのか。とにかく読んで考えた。ダンテに関する周辺情報も収集したが、あくまで二次的なもの、おまけのネタとして扱った。これまでもこれからも、私が作者の周辺情報を作品から読み取った情報より、優先させることはない。
しかし、現代日本人が中世ヨーロッパの詩人の気持ちなど分かるはずもなく、大変苦労した。
2020年5月
ダンテ「神曲」の記事を書いた。正直なところ焦っていた。
いい加減この辺で書いてしまわないと、この先ずっと「書かなきゃな」という思いに駆られたまま終わってしまいそうであった。そのくらい面倒な作業だったし、この記事に関してももっと深掘りできたなと思っている。ストーリーについての言及、ギリシャ神話との対応など。もっと追求できたはずだが、そんなことを考えていたらいつまで経っても終わらない。ついでに、文字数が2万を超えているので読者の負担も大きい。書いた本人が言うのもアレだが、ここまで長いと読むのかったるい。
ついでに勢いで書いた記事。アニメを見る本数は昔に比べて減った。若いころのように夜中まで視聴できる体力はない。無様なもんである。こういう話題でよく「時間が確保できない」というのがあるが、私の場合は嘘である。時間は作ろうと思えば作れる。
リゼロの原作はライトノベルである。ラノベは文学関係者から蔑視されている。「ラノベなんて...」と陰口をたたかれている。「そもそも『ライトノベル』という単語自体、意味不明だ」と言う人もいる。確かに、非常に定義が曖昧な用語である。表紙と挿絵、会話文の多用などから漠然と分類しているだけなのだろう。当初、出版社もライトノベルと呼ばれることに抵抗があったらしい。
そして、ライトノベルと同じくらい定義曖昧なのが「純文学」である。
純文学とは何であるか。
純文学もかなり適当に使われている用語である。「美的情操に訴える」とあるが、その美的情操とは誰が、なんの基準で決めるのか。それは芥川賞審査委員が決めるのだと言うのなら、これほど馬鹿げたものはない。
2020年6月
「魔の山」読み解きに精を出す。よって実績なし。
2020年7月
7月の終わりにようやく完成した。
ところどころもっと深堀りできたなと後悔する箇所あるが、概ね満足しているし不満な部分は追記で補っていく。
2018年7月から始まったので、まるまる2年掛かったことになる。私の読み解き経歴は「魔の山」との格闘の歴史であった。それが達成されたとなると、どうしようかという気分になる。軽い喪失感である。
今後の予定
もっともやることはまだ残っている。トーマス・マンで言うと「ベニスに死す」の修正版、「ブッデンブロークス」「ワイマルのロッテ」「ファウストゥス博士」。「ヨセフとその兄弟たち」は規模の大きい図書館の書庫ぐらいにしかないので断念する。決して読むのが面倒なわけではない。決して...
最終的には、ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」に挑んでマン研究はひとまず片をつける計画である。何年かかるか分からないが。
短編では、宮沢賢治「風の又三郎」、有島武郎「生まれ出づる悩み」、チェホフ「桜の園」、ツルゲーネフ「初恋」、O・ヘンリーの諸作品などを考えている。短編はそれほど時間かからないので頑張ってみたい。
井原西鶴「日本永代蔵」もやってみたいがどうなるか分からない。まずは読破からである。
アニメは映画「カラフル」に挑戦したい。以前、CLANNADやAIRをやりたいと言っていたがどうなるか分からない。
なんにせよ読み解き物語が今後も続いていければ幸いである。始まった時より同志は増えた。じっくり長く続けていけばそのうち良いこともあるでしょう。