週休二日〜アニメと文学の分析〜

ネタバレあり。一緒に読み解いてくれる方募集中です。詳しくは→https://yomitoki2.blogspot.com/p/2-510-3010031003010013.html

2019-01-01から1年間の記事一覧

「トニオ・クレーガー」解説【トーマス・マン】

「トニオ・クレーガー」は1903年に発表されました。日本では日露戦争の前年に当たります。ほろ苦い青春の書として、ドイツのみならず堀辰雄、太宰、三島、北杜夫など日本の作家にも影響を与えた作品です。 トニオ・クレエゲル (岩波文庫) 作者:トオマス…

アポロン的なるものとディオニュソス的なるものについて

dangodango.hatenadiary.jp こちらの続きから 「アポロン的とディオニュソス的」は1872年に出版されたニーチェの著作「悲劇の誕生」に出てくる概念です。 どちらもギリシャ神話が元ネタで、アポロンは理性を象徴する神、ディオニュソスは陶酔を象徴する…

私の京アニ史 その1

「というわけで京都アニメーションについて語っていく」 「唐突やな」 「いつものことだし慣れたやろ」 「語るはいいが、なぜ京アニなのか」 「まあなんだ、思うところがあんねん」 「左様か」 「今回は『私の京アニ史』と銘打って、今まで見てきた京アニ作…

「悲劇の誕生」に至るまで

ニーチェの「悲劇の誕生」についてやる。 と言っても読み解きをする余裕はないので、簡単なまとめをするにとどめておく。 ニーチェといえばツァラトゥストラのようなユーモアに富んだ檄文が有名である。「悲劇の誕生」にもその片鱗を見せているが、一応しっ…

ゲーテについて

魔の山コツコツ読み解いている。 しかし、非常に時間がかかる。なので息抜き代わりに雑文を投稿する。 トニオ・クレーゲルやベニスに死すもそうだったが、トーマス・マンの文章は一文が長く、難解で、くどい。胃もたれしてしまう。そしてこの濃厚な感じが最…

まどマギを語るつもりが脱線しまくるの巻

「ごきげんよう、みなさん」 「気づけば夏も終わりすっかり秋色になりましたが」 「いかがお過ごしでしょうか」 「ということで早速、『魔法少女まどか☆マギカ』について喋っていこうかなと」 www.madoka-magica.com 「唐突やな」 「BSで再放送してたからな…

「歯車」解説【芥川龍之介】

「歯車」は1927年(昭和2年)発表の芥川龍之介の短編です。 川端康成や堀辰雄ら名だたる作家が「傑作だ!」と称賛しました。しかし、普通に読むと普通に意味不明です。話らしい話のない、暗く欝々とした、死のイメージに満ちています。 引用:https://w…

「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を見たの巻

(以下、ネタバレします。ご注意下さい) ©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 謎多き女性 ©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 牧之原翔子は中学生です。心臓が悪くて入院しています。 …

オランウータンの尻子玉

先日、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」を読んだ。密室殺人を題材にした世界初の推理小説とのこと。 黒猫/モルグ街の殺人事件 (岩波文庫 赤 306-1) 作者: ポオ,中野好夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1978/12/18 メディア: 文庫 クリッ…

飽和するアニメ

「暇なのでアニメについて話していこうかなと」 「唐突やな」 「別にええやろ」 「ええけど」 「今期で一番面白いと思ったのは『かぐや様は告らせたい』」 「その心は」 「頭空っぽで楽しめるから」 「それは貶してるんとちゃうんか」 「いや褒めてる。シン…

SAOについて

分析は面倒なのでやらない。感想だけ置いておく。 SAOというアニメがある。ゲームの世界で主人公が剣で戦うのだが、中二病全開で正直痛い。十代向け作品。大人になってから見るもんじゃない。 でも、凄い人気で4クールでアニメやってる。この作品が人気だと…

小林秀雄と中二病

文芸評論家の小林秀雄がこんなことを言っていた。 若い人々から、何を読んだらいいかと訊かれると、僕はいつもトルストイを読み給えと答える。(中略)すると必ずその他には何を読んだらいいかと言われる。他に何も読む必要はない、だまされたと思って「戦争…

文学と方程式

以下は仮説である。 通常、物語は一つの主題に沿って描かれる。 一つの主題は一つの文化に基づいているとする。 作者が日本人なら日本の文化に基づいた主題を、ロシア人ならロシアの文化に基づいた主題を選ぶことが多い。 数学で例えるなら一次方程式である…

トーマス・マン実吉捷郎訳について

dangodango.hatenadiary.jp 以前、トニオ・クレーゲルの解説にて実吉訳の素晴らしさについて触れた。 原文通りなら「道に迷える俗人」と訳すところを「踏み迷える俗人」としたところがポイントで、この翻訳はソナタ形式を意識した上でとても重要なものであっ…

輪るピングドラムの余談

dangodango.hatenadiary.jp 頑張ってシンプルに説明したつもりである。 「銀河鉄道の夜」は賢治なりに頑張って全編対句しようとした作品である。その作業が大変すぎて完成できなかったが。 幾原監督も恐らくそのことに気づいている。気づいているがアニメで…

「輪るピングドラム」解説

(以下、ネタバレあります) 2011年に放送されたアニメ。タイトルからして難しそうです。「輪るピングドラム」。なんで「輪る」なのでしょうか、「回る」じゃダメなのか。最初はそんなことを思っていましたが、最後まで見たらタイトルの意味が理解できまし…

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の答え合わせと解説の巻

©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 「前回、こんな予想をしたわけだが」 dangodango.hatenadiary.jp 「早速、答え合わせというわけやな」 「最終回まで見た結果は下の通りになる」 「なんか増えてないか」 「結論から言…