週休二日〜アニメと文学の分析〜

ネタバレあり。一緒に読み解いてくれる方募集中です。詳しくは→https://yomitoki2.blogspot.com/p/2-510-3010031003010013.html

ヴァイオレット・エヴァーガーデン1話〜映画のようなアニメ〜

絵は綺麗だがストーリーがつまらない

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 このアニメの1話を見た多くの人がこう思ったのではないか。戦争がストーリーの背景にあるが別に戦闘アニメではない。かといって美少女が織り成す日常系という訳でもない。退屈な映画が一番しっくり来る気がする。

 

 

最初に言っておくとストーリーの展開よりも背景の美しさや登場人物の表情に注目した方が楽しめる作品になっている。

 

 一応、主人公については説明させてもらうと

 

年齢は多分17歳くらい。元軍人で「ギルベルト少佐」という人物の下で戦争に参加していた。

 そして戦争で両腕を失くしている。

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彼女の一番の特徴なのだが、

主人公のヴァイオレットはとにかく人間の感情が分からない

 

金髪碧眼で綺麗なのだが、なにぶん空気が読めないので周囲からドン引きされてる。同性から嫌われるタイプ。

 

これからお世話になる親切なご婦人に「私は亡くなった子供の代わりにはなり得ません」と言っちゃうくらい。(結局、受取拒否される)

 

 

 

 

そんな少女が郵便局の代筆業を通して、自分自身と見つめ合い成長するみたいな流れであると思う。

 

この郵便局の代筆業を「自動手記人形」という。物語のキーワードでもある。 ちなみにもう一つのキーワードは「愛してる」

 なんとなく分かったような分からないような気がする。

 

気になったシーンについて

 

 

(冒頭)

ギルベルト少佐の後ろを歩いていたヴァイオレットがエメラルドのブローチを見つける場面

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「ほら、絵綺麗でしょー?すごいでしょー?このアニメ作画すごいからみんな見てねー!!」ていう感じです。1話の冒頭はどのアニメにとっても一番重要なので当然力が入ってます。このブローチの吸い込まれる感じ嫌いじゃない。

 

 

(1分51秒〜)

手紙が美しい景色と共に風に舞うシーン。壮大なオーケストラの音楽のおかげでより視聴者の心を掴んでいる。すごいね、豪華客船とか。

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(6分08秒〜)

ホッチンズが少佐について問われたシーン。あえてホッチンズの顔を写さず、ポケットに手を入れることによって隠していることがあるのを暗示している。こういう微妙な仕草とか好きだ。

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(12分40秒〜)

ここでもヴァイオレットの表情をあえて写さない描写になっている。もしかすると感情的になったヴァイオレットをあまり写したくないのかもしれない。1話の段階ではあくまで彼女は感情を持たない少女だから。

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(19分52秒〜)ここはかなり重要なシーンなのだが、抽象的であったと思う。

 ホッジンズとの帰り道のシーンでホッジンズの

 

「君は自分がしてきたことで、どんどん身体に火がついて、燃え上がってることをまだ知らない」

 

というセリフに注目してほしい。ここで彼が言いたいことを直訳すると

 

「君はギルベルトを想うあまり、他人の気持ちに、自分自身の気持ちに気づいていないんだ」

 

となる。「ギルベルトへの想い」が比喩として「火」に例えられているのが非常に面白い。そしてそれに続く「燃え上がり」「火傷している」という比喩でヴァイオレットの心が傷ついてるのを的確に表現できている。

 

そしてそのセリフと対応するかのようにランプの灯りがヴァイオレットのギルベルトへの想いを描写している。とても素晴らしい場面である。

 

なおここでも足元を写すシーンがある。京アニは足が好きなのだろうか。

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(23分40秒〜)

ヴァイオレットが自動式人形の仕事がしたいと願い出るシーン。日の光でぼやけてるホッチンズの部屋の中で「『愛してる』を知りたい」と言ったヴァイオレットの困った表情が素敵だった。

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〈思ったこと〉

一言で言うと「美しく、そして退屈なアニメ」あまり難しく考えずに絵の鑑賞だと思って観ることをオススメする。あと主人公の名前が長過ぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻枝准と村上春樹

 

 

まず前回、麻枝准村上春樹の影響を受けているらしいと言ったが本当だった。

http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-17107.html

上記のページに麻枝がインタビューに答えているのだが、

 

 

どうやらCLANNADは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が下敷きになっている。

 

幻想世界はやはり村上春樹の影響だった。

こうなってくると「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んで、CLANNADとの共通点を探りたくなってくる。CLANNADが最高峰の文学を取り入れてると思うだけでワクワクする。

 

という訳で村上春樹を読んでいるのだがそうするとCLANNADの更新が遅れてくる。

 

なのでCLANNADの考察は気になった点をざっくり取り上げて更新しつつ、村上春樹の考察をした上でCLANNADの全体部分を分析することにした。

 

気の遠くなる作業だ…

 

 

 

 

CLANNAD第1話

CLANNAD第1話の考察をする。

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まずはじめにテレビアニメにおいて第1話は最終回以上に重要である。この第1話で視聴者をどれだけ掴めるかで今後の視聴率及び利益に繋がってくる。よって制作側も第1話は非常に完成度を高めて放映することが多い。

 

CLANNADも例外ではなく絵コンテ・演出共に石原立也が担当し、作画監督池田和美が担当している。

この二人の組み合わせはこの回と二期の最終回だけである。(アフターの最終回は山田尚子と石原が絵コンテ、山田が演出、高橋博之と池田が作画監督を担当している)

 

 

そういう事情で第1話は注意深く考察する必要がある。

 

第1話で気になった3つの特徴を挙げる。

 

・音楽が素晴らしい

・同時並行する幻想世界

・声優の技術レベル

 

音楽が素晴らしい

とにかく音楽が良かった。CLANNADを知らなくてもサントラを聴けばファンになりそうな勢いがある。それくらい素晴らしい。音楽が良いと作品自体に奥行きができる。ゴッドファーザーとか。

 

「街、時の流れ、人」や「渚」は特に完成度が高く、今後も頻繁に流れてくることが予想できる。その証拠に第1話ではそれぞれ2回ずつ使われている。

 

 街、時の流れ、人           0m1s、21m20s

渚                                    0m40s、13m17s

(mは分、sは秒)

 

OPとEDも良曲で何度も聴きたくなるレベルだった。

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 余談であるが2008年の「年越しアニソン三昧ファイナル」でラストの曲にだんご大家族が使われたらしい。年越しの家族団欒で聴くにはぴったりの選曲である。

 

主に音楽を製作したのはこの3人

折戸伸治

戸越まごめ

麻枝准

この3人の存在がCLANNADを支えている。Keyの音楽は評価が高いがこの3人の功績だろう。

 

「街、時の流れ、人」作曲したのは折戸伸治、「渚」は麻枝准が作曲した。曲の完成度もさることながらBGMの入れ方にも工夫があった。

0m40sの「渚」は街の雑音と渚の呼吸と同時に入れている。長くなるので工夫のあったBGMシーンの時間を記しておく。

0m40s、13m17s、15m7s、20m50s、21m20s

 

同時並行する幻想世界

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ここはまだよくわかってない。第1話では5m41sに一回登場する。謎の語り部と少女のみが存在する世界。恐らく何かのメタファーなのだろうけど掴めない。

というのも幻想世界でのセリフは抽象度が高く一回で理解するのは困難であるし、これを書いた麻枝准はよほどシナリオの腕に自信があるとみて間違いない。

この辺がストーリーの才能がある人との差なのだろう。

 

ところで、同時並行する二つの世界というと村上春樹が思い浮かぶ。もしやと思い調べてみるとやはり麻枝准村上春樹の影響を受けてるらしい。CLANNADも村上作品が下敷きになっている可能性が高い。自分では結構すごい発見だと思っているので今度、村上春樹を読んでみて調査したい。

 

 

声優の技術レベル

主要キャラの声優陣はレベルが高い。AIR、Kannon、涼宮ハルヒの成功によって京アニのブランドが一躍上がったのも関係しているかもしれない。

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特に、際立っていたのが中原麻衣阪口大助

中原は声が綺麗なことに加えて0m40sでの深呼吸や会話の途中にためらいを入れたりと非常に技術が高かった。特に0m52sと9m42sの「あなたはこの学校が好きですか?」や21m45sなどが視聴者に訴えかけるような表現をしていた。

 

意外に思われるかもしれないが、春原はCLANNADにおいて貴重な存在である。全体的に重く暗い内容なので一人でボケとツッコミをしてくれる春原がいてくれると視聴者は安心する。

阪口大助のツッコミ能力はCLANNADの中でも群を抜いていた。2006年に銀魂が放映してるからそこで磨かれたのだろう。

参考程度に二人の良かったシーンを挙げておく。

中原麻衣 0m42s、0m52s、9m42s、13m30s、20m55s、21m45s

阪口大助 4m51s、14m17s

 

感想

CLANNADは音楽、キャラ、ストーリー構造がしっかりしてることがわかったので考察は骨が折れそう。書き忘れたが監督の石原立也はフラッシュカットが好きで第1話だけでも5回使っている。

あと早見沙織が女子生徒役で出演している。12m7sの右の女の子である。透き通った声をしているが、まだ16歳でデビューしたばかりである。恐ろしい才能の持ち主である。ちなみに隣の女子生徒を演じた志村由美は2016年をもって廃業した。声優業界も競争が激しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CLANNAD

自分なりにアニメCLANNAD(京都アニメーション版)についてあれやこれや語りたいなと思い立ち、ブログを開設しました。拙い文章でありますが読んでくださると助かります。

 

 

CLANNADは第1期が2007年に放映され第2期が2008年に放映された。第1期: 本編22話+番外編1話+DVD特典1話。第2期: 本編22話+番外編1話+総集編1話+DVD特典1話で構成される全49話のアニメ作品である。番外編も取り上げたいところだが、最初は本編を考察していく。

 

原作はkey/ビジュアルアーツCLANNAD以外の代表作はAIRやkannonも制作した。

 

key作品は一般的に「泣ける」「感動」するゲームとして認識されている。CLANNADも同じカテゴリーの作品である。

 

 

監督は石原立也。key原作の京アニ作品の監督をしている。自身もkeyファンらしい。シリーズ構成は志茂文彦。キャラクターデザイン池田和美。この辺は京アニでもお馴染みのスタッフ布陣である。音楽は折戸伸治戸越まごめ麻枝准。keyのスタッフが担当している。

 

特に麻枝准Angel Beats!の原作脚本・音楽プロデュースとして有名。ゲームシナリオライターだけでなく作曲や作詞、脚本まで幅広い分野でその名が知れ渡っている。

 

CLANNADではシナリオライターの他に主題歌やBGMの作詞・作曲をしている。

 

能書きは以上にして次回からCLANNAD第1話をやっていく。

 

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