ヴァイオレット・エヴァーガーデン3話
3話のテーマは「良きドールとは」である。
これは教官の言葉で何度も繰り返されているので感覚で分かった人も多いだろう。
次に3話のあらすじを簡単に説明する
ドールの学校に行く→成績は優秀だが代筆の授業を落とす→不合格になる→友人の手紙を代筆して追加合格する
これだけである。
特別驚くような展開があるわけではない。ただ学校を卒業しただけである。新しい魔法が使えるようになったとか、戦争が始まったとか、恋に落ちたとか、そういう劇的なドラマはない。
淡々と傷を負った少女の成長を描いていく。
ここでいう 傷とは、両腕を失くした肉体的なダメージと感情に乏しい心理的なものの二つである。
そして平凡なストーリーを退屈させないような工夫として作画と音楽が挙げられる。
作画については(10分31秒〜)、(11分08秒〜)、(20分00秒〜)のシーンが素晴らしかった。いずれも夕暮れの美しいシーンである。
(10分31秒〜)
(11分08秒〜)
(20分00秒〜)
(10分31秒〜)と(20分00秒〜)については不安そうなヴァイオレットと幼き日のルクリアが重なっている。
(10分31秒〜)
(20分00秒〜)
(11分08秒)については1話と2話でも出てきたギルベルト少佐を想うシーンであり、夕暮れの景色が1話の街灯、2話のランプの灯りの役割を担っている。
(11分08秒〜)
次に音楽であるが、(4分59秒〜)のピアノとバイオリンの流れるようなBGMがルクリアの心の変化を表現しているようだった。
(4分59秒〜)
(7分12秒〜)からも無印良品の店内BGMのような心地よい音楽が流れてくるが、(8分41秒〜)からは音楽を止まる。これは教官の「手紙とは人の心を伝えるもの。良きドールとは人が話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくい上げる者」という重要なセリフを集中して聞いて欲しいという配慮からである。
(7分12秒〜)
(17分00秒〜)も切ないメロディーでルクリアの話を引き立てるが、(18分58秒〜)からは音楽を止めている。無論、二人の会話に注意してもらうためである。
(18分58秒〜)
<思ったこと>
機械の腕→無感情、冷徹の象徴
手紙→豊かな感情、温かさの象徴
機械の腕では手紙を書けない。1話の冒頭でもそうだった。書けない理由は感情のない機械の腕にある。
だから教官の「すくい上げる」という表現がたまらなく好きだ。義手であるヴァイオレットには「すくい上げる」行為がとてもおぼつかない。機械の腕では少し難しいのだ。
それでもなんとかルクリアの心をすくい上げたみたいで良かった。