ヴァイオレット・エヴァーガーデン1話〜映画のようなアニメ〜
絵は綺麗だがストーリーがつまらない
このアニメの1話を見た多くの人がこう思ったのではないか。戦争がストーリーの背景にあるが別に戦闘アニメではない。かといって美少女が織り成す日常系という訳でもない。退屈な映画が一番しっくり来る気がする。
最初に言っておくとストーリーの展開よりも背景の美しさや登場人物の表情に注目した方が楽しめる作品になっている。
一応、主人公については説明させてもらうと
年齢は多分17歳くらい。元軍人で「ギルベルト少佐」という人物の下で戦争に参加していた。
そして戦争で両腕を失くしている。
彼女の一番の特徴なのだが、
主人公のヴァイオレットはとにかく人間の感情が分からない
金髪碧眼で綺麗なのだが、なにぶん空気が読めないので周囲からドン引きされてる。同性から嫌われるタイプ。
これからお世話になる親切なご婦人に「私は亡くなった子供の代わりにはなり得ません」と言っちゃうくらい。(結局、受取拒否される)
そんな少女が郵便局の代筆業を通して、自分自身と見つめ合い成長するみたいな流れであると思う。
この郵便局の代筆業を「自動手記人形」という。物語のキーワードでもある。 ちなみにもう一つのキーワードは「愛してる」
なんとなく分かったような分からないような気がする。
気になったシーンについて
(冒頭)
ギルベルト少佐の後ろを歩いていたヴァイオレットがエメラルドのブローチを見つける場面
「ほら、絵綺麗でしょー?すごいでしょー?このアニメ作画すごいからみんな見てねー!!」ていう感じです。1話の冒頭はどのアニメにとっても一番重要なので当然力が入ってます。このブローチの吸い込まれる感じ嫌いじゃない。
(1分51秒〜)
手紙が美しい景色と共に風に舞うシーン。壮大なオーケストラの音楽のおかげでより視聴者の心を掴んでいる。すごいね、豪華客船とか。
(6分08秒〜)
ホッチンズが少佐について問われたシーン。あえてホッチンズの顔を写さず、ポケットに手を入れることによって隠していることがあるのを暗示している。こういう微妙な仕草とか好きだ。
(12分40秒〜)
ここでもヴァイオレットの表情をあえて写さない描写になっている。もしかすると感情的になったヴァイオレットをあまり写したくないのかもしれない。1話の段階ではあくまで彼女は感情を持たない少女だから。
(19分52秒〜)ここはかなり重要なシーンなのだが、抽象的であったと思う。
ホッジンズとの帰り道のシーンでホッジンズの
「君は自分がしてきたことで、どんどん身体に火がついて、燃え上がってることをまだ知らない」
というセリフに注目してほしい。ここで彼が言いたいことを直訳すると
「君はギルベルトを想うあまり、他人の気持ちに、自分自身の気持ちに気づいていないんだ」
となる。「ギルベルトへの想い」が比喩として「火」に例えられているのが非常に面白い。そしてそれに続く「燃え上がり」「火傷している」という比喩でヴァイオレットの心が傷ついてるのを的確に表現できている。
そしてそのセリフと対応するかのようにランプの灯りがヴァイオレットのギルベルトへの想いを描写している。とても素晴らしい場面である。
なおここでも足元を写すシーンがある。京アニは足が好きなのだろうか。
(23分40秒〜)
ヴァイオレットが自動式人形の仕事がしたいと願い出るシーン。日の光でぼやけてるホッチンズの部屋の中で「『愛してる』を知りたい」と言ったヴァイオレットの困った表情が素敵だった。
〈思ったこと〉
一言で言うと「美しく、そして退屈なアニメ」あまり難しく考えずに絵の鑑賞だと思って観ることをオススメする。あと主人公の名前が長過ぎる。