週休二日〜アニメと文学の分析〜

ネタバレあり。一緒に読み解いてくれる方募集中です。詳しくは→https://yomitoki2.blogspot.com/p/2-510-3010031003010013.html

私の京アニ史 その3

「ここまで魂の遍歴を追ってきたわけだが」 「誰も追ってないけどな」 「私の京アニ史の続きをやっていく」 「前回の続きはこちら」 5.中二病でも恋がしたい! 「5番目はこれ」 「これまた女子高生」 「中二病の女の子と元・中二病の男の子の話」 「痛い…

「神曲」の原題について

ダンテの「神曲」一通り読み終わった。 しかし、どうも「神曲」というタイトルがおかしい。違和感を覚える。 原題はLa Divina Commedia。直訳すると神聖喜劇である。ダンテ自身はCommedia、とだけ呼んだらしいが、あとから神聖が前に付いた。 (ダンテの時代…

「トニオ・クレーガー」追記 その2

「トニオ・クレーガー」ラストに出てくる二人組の男女はハンス・ハンゼンとインゲではない、という意見が翻訳者の間であるらしい。 はっきり言って不毛である。 仮にあの舞踏会にいたのが彼らではなく、赤の他人だったとしてもトニオの結論は変わらない。「…

私の京アニ史 その2

「新年明けましておめでとうございます」 「本年もどうぞよろしくお願いいたします」 「というわけで早速、私の京アニ史第二弾をやっていく」 「うむ」 dangodango.hatenadiary.jp 「前回の続きはこちら」 「まだの方は読んでいただければ」 「新年一発目な…

「トニオ・クレーガー」追記 その1

dangodango.hatenadiary.jp 年内ギリギリであったがアップできた。 トニオ・クレーガーの構成はソナタ形式である。 このことを先に発見したのは私ではなくfufufufujitani氏であった。これをもとに少し自分で解析を加えたのが以前の記事である。 dangodango.h…

「トニオ・クレーガー」解説【トーマス・マン】

「トニオ・クレーガー」は1903年に発表されました。日本では日露戦争の前年に当たります。ほろ苦い青春の書として、ドイツのみならず堀辰雄、太宰、三島、北杜夫など日本の作家にも影響を与えた作品です。 トニオ・クレエゲル (岩波文庫) 作者:トオマス…

アポロン的なるものとディオニュソス的なるものについて

dangodango.hatenadiary.jp こちらの続きから 「アポロン的とディオニュソス的」は1872年に出版されたニーチェの著作「悲劇の誕生」に出てくる概念です。 どちらもギリシャ神話が元ネタで、アポロンは理性を象徴する神、ディオニュソスは陶酔を象徴する…

私の京アニ史 その1

「というわけで京都アニメーションについて語っていく」 「唐突やな」 「いつものことだし慣れたやろ」 「語るはいいが、なぜ京アニなのか」 「まあなんだ、思うところがあんねん」 「左様か」 「今回は『私の京アニ史』と銘打って、今まで見てきた京アニ作…

「悲劇の誕生」に至るまで

ニーチェの「悲劇の誕生」についてやる。 と言っても読み解きをする余裕はないので、簡単なまとめをするにとどめておく。 ニーチェといえばツァラトゥストラのようなユーモアに富んだ檄文が有名である。「悲劇の誕生」にもその片鱗を見せているが、一応しっ…

ゲーテについて

魔の山コツコツ読み解いている。 しかし、非常に時間がかかる。なので息抜き代わりに雑文を投稿する。 トニオ・クレーゲルやベニスに死すもそうだったが、トーマス・マンの文章は一文が長く、難解で、くどい。胃もたれしてしまう。そしてこの濃厚な感じが最…

まどマギを語るつもりが脱線しまくるの巻

「ごきげんよう、みなさん」 「気づけば夏も終わりすっかり秋色になりましたが」 「いかがお過ごしでしょうか」 「ということで早速、『魔法少女まどか☆マギカ』について喋っていこうかなと」 www.madoka-magica.com 「唐突やな」 「BSで再放送してたからな…

「歯車」解説【芥川龍之介】

「歯車」は1927年(昭和2年)発表の芥川龍之介の短編です。 川端康成や堀辰雄ら名だたる作家が「傑作だ!」と称賛しました。しかし、普通に読むと普通に意味不明です。話らしい話のない、暗く欝々とした、死のイメージに満ちています。 引用:https://w…

「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を見たの巻

(以下、ネタバレします。ご注意下さい) ©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 謎多き女性 ©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 牧之原翔子は中学生です。心臓が悪くて入院しています。 …

オランウータンの尻子玉

先日、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」を読んだ。密室殺人を題材にした世界初の推理小説とのこと。 黒猫/モルグ街の殺人事件 (岩波文庫 赤 306-1) 作者: ポオ,中野好夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1978/12/18 メディア: 文庫 クリッ…

飽和するアニメ

「暇なのでアニメについて話していこうかなと」 「唐突やな」 「別にええやろ」 「ええけど」 「今期で一番面白いと思ったのは『かぐや様は告らせたい』」 「その心は」 「頭空っぽで楽しめるから」 「それは貶してるんとちゃうんか」 「いや褒めてる。シン…

SAOについて

分析は面倒なのでやらない。感想だけ置いておく。 SAOというアニメがある。ゲームの世界で主人公が剣で戦うのだが、中二病全開で正直痛い。十代向け作品。大人になってから見るもんじゃない。 でも、凄い人気で4クールでアニメやってる。この作品が人気だと…

小林秀雄と中二病

文芸評論家の小林秀雄がこんなことを言っていた。 若い人々から、何を読んだらいいかと訊かれると、僕はいつもトルストイを読み給えと答える。(中略)すると必ずその他には何を読んだらいいかと言われる。他に何も読む必要はない、だまされたと思って「戦争…

文学と方程式

以下は仮説である。 通常、物語は一つの主題に沿って描かれる。 一つの主題は一つの文化に基づいているとする。 作者が日本人なら日本の文化に基づいた主題を、ロシア人ならロシアの文化に基づいた主題を選ぶことが多い。 数学で例えるなら一次方程式である…

トーマス・マン実吉捷郎訳について

dangodango.hatenadiary.jp 以前、トニオ・クレーゲルの解説にて実吉訳の素晴らしさについて触れた。 原文通りなら「道に迷える俗人」と訳すところを「踏み迷える俗人」としたところがポイントで、この翻訳はソナタ形式を意識した上でとても重要なものであっ…

輪るピングドラムの余談

dangodango.hatenadiary.jp 頑張ってシンプルに説明したつもりである。 「銀河鉄道の夜」は賢治なりに頑張って全編対句しようとした作品である。その作業が大変すぎて完成できなかったが。 幾原監督も恐らくそのことに気づいている。気づいているがアニメで…

「輪るピングドラム」解説

(以下、ネタバレあります) 2011年に放送されたアニメ。タイトルからして難しそうです。「輪るピングドラム」。なんで「輪る」なのでしょうか、「回る」じゃダメなのか。最初はそんなことを思っていましたが、最後まで見たらタイトルの意味が理解できまし…

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の答え合わせと解説の巻

©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 「前回、こんな予想をしたわけだが」 dangodango.hatenadiary.jp 「早速、答え合わせというわけやな」 「最終回まで見た結果は下の通りになる」 「なんか増えてないか」 「結論から言…

今後の予定と車輪の再発明

年内にブッデンブローク家の人びとの解説が終わりそうにない。 更新予定としては 1月・・・ブッデンブローク、青ブタ(アニメ)予想の答え合わせ 2月・・・魔の山、何かアニメの予想 あくまで予定なのであしからず。基本は月2回更新である。 というわけで12月…

たわごと~ヴァネツィアに死すの主題について~

「ヴェネツィアに死す」の主題について dangodango.hatenadiary.jp この解説では、あえて作品の主題について触れていない。「構造を読む」がテーマなので、話が脱線しないようにした。以下にそれを示す。 「ヴェネツィアに死す」の主題 「若きウェルテルの悩…

構造を読むとは その2~ヴェネツィアに死す~

前回、音楽の形式(ソナタ形式)を用いた小説の説明をした。 dangodango.hatenadiary.jp 今回も音楽の形式を用いた別の小説の説明をする。タイトルは「ヴェネツィアに死す」 「ヴェネツィアに死す」は1912年にドイツで発表された作品である。日本では明…

構造を読むとは その1~トニオ・クレーゲル~

「構造を読む」という世界が存在する。 これは文学に限らず、映画やアニメといったジャンルにおいても優れた作品には、「構造」が存在する。 しかし、一般的に「構造を読む」という考え方が広まっていないせいで、その価値を理解されていない作品が多々ある…

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の今後の展開を予想しようの巻

©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project 「さて、青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない、がどうなるか予想しようのコーナー」 「なんか突然やな」 「ただアニメを見るのも飽きるしな」 「そういうもんなのか」 「そう…

「注文の多い料理店」解説【宮沢賢治】

宮沢賢治の代表作の一つ。国語の教科書に載るくらい有名である。子供向けに書かれた割には良くできている。しかし、何がそんなにすごいのか理解されていない。 あらすじ 宮沢賢治 注文の多い料理店 あらすじは、わざわざ書かない。短編なので、忘れてしまっ…

涼宮ハルヒの消失~構造、音楽、そして続編~

前回のつづきから 涼宮ハルヒの消失~エヴァの消失~ - アニメの感想など。 作品を読み解くには、構造を読み解く必要がある。構造を読み解くには、章立て表とキャラクター表が必要である。キャラ表は前回出したので今回は章立て表を使っていく。 章立て表は…

涼宮ハルヒの消失~エヴァの消失~

劇場版涼宮ハルヒの消失は大人気作となったテレビ版の続編であり、当時としては異例の興行収入を誇った作品である。 人気だけではなく、日本アニメ史的にも重要な作品である。涼宮ハルヒが後のアニメ与えた影響は大きい。 よって解析して内部構造をしっかり…